「リクルート創刊男の大ヒット発想術」くらたまなぶ著・・・・を読んでみた結果

 ちょっと古い本を引っ張り出して読んでみました。それが、「リクルート創刊男の大ヒット発想術」。もう10年近くも前なんですね。押し入れを整理していて、ふと発見してしまいまして、随分と傷んでおる文庫本でしたが読み始めると止まらなくて! 当時より、今の方がその本の良さがわかったような気がします。


 「術」となってますが、極めてその内容は「汗」にまみれたものになっております。ただ、苦労とか、徹夜とか、逆境とか・・・・究極のマゾヒストじゃないかと思えるほど、楽しんでいるようにも思える。そして何より「仲間」が必ずそこにはあるし、情報を発するのではなくて受け止めようとするとこがすごい。いや、何でも何でも聞きまくるという貪欲さと謙虚さが裏腹なのが実に痛快だたりする。


 それぞれの事業には、必ず「ロマン」がある。夢からスタートして事業を組み立て始める。そこには私の苦手とするブレストから始まり、際限ない自由度があるように思える。

 夢という「感情」から、その次には一転して銭の「勘定」が始まる。ブレストからディベートへと切り替わる。ニヒリストなどそこにはおらず、ひたすらビュロクラシーと戦う姿がある。

 次に、それを実行に移す「パワー」がある。計算通りにいかない時に、ツリーを戻りたどって再考して直してゆくスピード感も素晴らしい。俺しかできないという気迫というか、産みの苦しみさえ快感という感じが溢れる文体がいい。本当に一気に読み通してしまった。


 そして、惜しげもなく、「事業の立ち上げ」のステップ論についても、ちゃんと整理して表にまとめて、解説までしてくれているのがとても有難いです。単なる物語として読むのも面白い。私も人生に一度くらい、苦しんだ後での達成した歓喜の涙を、仲間と笑いあって、抱き合って、流したいと心から思えました。