もういっちょ!会いたいけど、会いたくない人

 今度は、大学に入ってから知り合った友人で、会いたいけど、会いたくない人。大学一年のゼミで知り合ったやつ。なんか人懐っこいやつで人気があった。自分は、バカで県内でも最底辺な高校出身だったんだけど、一念発起で勉強を続けて合格を勝ち取ったという、自由奔放さが何よりの魅力でしたね・・・。なんとか引っかかって入学できた僕とは、勢いが違いました。親分肌が少しあって、なんだか知らんけど、僕のことを気にかけてくれて、良く呑みに言ったりもしました。

 とにかく、<span class="deco" style="font-weight:bold;font-size:large;">思い込んだら実行という人</span>でした。就職活動ではそれが遺憾なく発揮されて、ことごとく、<span class="deco" style="font-weight:bold;font-size:large;">きら星の如く内定の山</span>。有名商社の道もありましたが、結局、某有名都市銀行にはいりました。僕らの大学出身では、まず競争が大変だろうなと思うようなところ。しかし、船場支店に配属された彼は、ここでも昇り龍のような運と実力をまたまた発揮して、幹部候補生としては登竜門の、異例の速さで海外勤務となりました。ニューヨーク、ロスなど、アメリカを中心に転勤生活が長く続いたようです。その後は、アメリカで大手の証券会社に転職してと、どこまでいくんじゃいと・・・もう対抗心なんて起こらない。

 

 


 そんな彼から、突然電話がかかってきて、一度会わないか?とのお誘いがかかった?なんだ、日本に帰ってきたんだ・・・。一杯呑もうよと言いましたが、時間がないから、土日にランチでもということに。どういうわけか、ロイヤルホストで落ち合った・・・・(当時彼がアルバイトしていたところだったから)。

 とても久しぶりで、少しギクシャクしたのはあったが、気にかけずに流していた。で、今何してるの?と仕事の話には必ずなるわけで、聞くと、銀行とか証券会社とか辞めて、今は、日本の某大手生命保険会社に努めているとの返事。やっぱり金融・サービスがすきなんだねーと、話てたところ、なんだか、途中から・・・生命保険の商品説明になりだした。まぁ、保険の見直しもしたいと思ってはいるんだよなーと答えた。すると、カバンからノートPCを取り出して見積もりなんて簡単にやったりする。

 まだ、懐かしい話がし足りなくて、そんなことを言っていると、時間があまりないので今日はこの辺でと別れることとなった。別れ際、その生命保険会社の書類袋を渡され、その中には、いろいろと資料が入っていた。「じゃまたな!携帯に連絡いれるよ!」と別れた・・・。このときになって、鈍い僕でもようやく、電話してきた本当の意味が分かった。<span class="deco" style="font-weight:bold;font-size:large;">この自分の商品資料の話をしたかったんだな・・。だから、昼間に会おうと言ったんだと・・・・。手回し良すぎな書類袋を、どこか冷めた気持ちで眺めるしかありませんでした・・。</span>

 

 

 <span class="deco" style="font-weight:bold;font-size:large;">ちょっと後味が悪い程度だったけど、日を追うに従い苦味が増した。結局、電話に出ることもなく、そのまま会わないことにしました。</span>

 


 友情の表し方が、今でも分からずにいます。<span class="deco" style="font-weight:bold;font-size:large;">そのまま会わないことにしたのをチャンと詫びたい</span>反面、あの日は本当はどういうつもりで会いに来たのかを会って確認したい。でも、そうしたところで、得られるものは侘しさだけかもしれんし、きっとそうだろう。


 そんな感じな・・・会いたいけど、会いたくない人です。今は、またアメリカに行ったとのこと。また、新しい野望を抱いて活躍して、そんな僕の憂鬱を持ち前の明るさで吹き飛ばしてくれる日がくることを、切実に思います。



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